「それじゃあ、これで夏休み最後の授業を終わります。みんな良い夏休みを過ごしてね」
太陽よりも眩しく、やわらかな笑みを浮かべている彼。
彼は深瀬 暦。私立星蘭高校に勤める国語教師だ。
「あ〜、今日も先生かっこよかった〜!良い栄養分だわ」
「なーに?桜、センセーと妄想デート?」
「冷やかすなって。それに声大きい!!」
私は坂野 桜。私立星蘭高校の高校2年生だ。
突然だが私、坂野 桜は暦先生が好きである。
「過去に辛い思いをしてるから、あまり恋愛に興味はないかな」
私が一年生のときに赴任してきた先生はそう言っていた。
私は過去に恋愛で悲惨な目に遭ってからもう恋愛は懲り懲りだと思っていたけれど、
一目惚れしやすいタイプ。
暦先生の仕草に、優しい性格に…一瞬でコロンとやられた私は、先生ガチ恋勢となりつつも、競争率の高さゆえ半分諦めその殆どを妄想でしのいできた。
そもそも先生のことを意識しすぎて行動が不自然になっていき、最近は避けられている感じもする。
恋愛に興味はないと言いつつも、そのミステリアス(?)な過去や風貌、それから先述の色々が女子人気を高めている。
現に今も先生は、図書室で女子生徒に囲まれている。
「せんせー!夏休みの予定は?」
「私とデート行こうよ!海とか〜」
先生のワイシャツの袖をひく女子生徒に、先生は苦笑いをしている。
「桜もセンセーのとこ行ってきなよ!応援してあげるからさ」
「なーに言ってんの!無理に決まってるでしょ!早く教室戻るよ」
夏休みの感想文の課題図書を小脇に抱え、私は友達と教室を出ようとした。
その時だった。
「あ、坂野さん、ちょっと教室残ってて。課題があるから」
暦先生に呼び止められ、私は心臓がどきっと高鳴る。
「もしかしたら…アイのコクハク?なんじゃない?」
「なにいってんの、課題よ、課題って先生も言ってるじゃない!!」
そう講義しつつも私の顔は茹だったように真っ赤だった。
やがて、先生に群がっていた女子たちは教室へ戻り、教室は先生と私の二人になった。
「あ、せんせ…課題って…?」
そもそも課題出されるようなことあったっけ、と思いながらも、先生の元へ向かう。
私は先生と話す時、きちんと目線を合わせられない。
きっと今私はすごい顔をしている。
人に見せられるような顔じゃない…
「ああ、ええとね…その…」
何故か先生が口ごもる。
もしかして…私、これ以上近づかないで、迷惑だから…的なことを言われるのでは。
きっとそのまま振られて、先生と一生話せないんだ…
なんて勝手に一人で突っ走っていたけれど、先生の口から出てきた言葉は、予想の真逆だった。
「坂野さん、夏休みの間だけ、先生の彼女になってくれないかな」
先生は。確かにそう言った。
誰も居ない図書室で。
セミの声が遠く聞こえる。
さぁぁっと青葉が揺れる。
待ちわびていた展開なのに…
幸せの過剰摂取すぎて、逆にクラクラしてくる。
「ご、ごめんね急にこんなこと…嫌だったよね、忘れて大丈夫…」
中々返事をせずに固まっている私を見た先生は、慌てて私に声を掛ける。
「いや、違うんです…その…嬉しすぎて」
言葉が追いつかない私を見て、先生は「だよね」と笑った。
「よかった、嫌われて無くて…早速だけどさ、明日どこか行かない?坂野さんの好きなもの、知りたいな」
やっぱり人生経験が豊富なんだろうか。早速デートのお誘いを受けた私は、喜び勇んで返事をした。
明日の朝9時、星蘭高校前の駅に集合。
スマホのメモ帳にそう刻んで、私は教室を後にした___
この恋が思っだより色々厄介なことをまだ、私は知らない。
太陽よりも眩しく、やわらかな笑みを浮かべている彼。
彼は深瀬 暦。私立星蘭高校に勤める国語教師だ。
「あ〜、今日も先生かっこよかった〜!良い栄養分だわ」
「なーに?桜、センセーと妄想デート?」
「冷やかすなって。それに声大きい!!」
私は坂野 桜。私立星蘭高校の高校2年生だ。
突然だが私、坂野 桜は暦先生が好きである。
「過去に辛い思いをしてるから、あまり恋愛に興味はないかな」
私が一年生のときに赴任してきた先生はそう言っていた。
私は過去に恋愛で悲惨な目に遭ってからもう恋愛は懲り懲りだと思っていたけれど、
一目惚れしやすいタイプ。
暦先生の仕草に、優しい性格に…一瞬でコロンとやられた私は、先生ガチ恋勢となりつつも、競争率の高さゆえ半分諦めその殆どを妄想でしのいできた。
そもそも先生のことを意識しすぎて行動が不自然になっていき、最近は避けられている感じもする。
恋愛に興味はないと言いつつも、そのミステリアス(?)な過去や風貌、それから先述の色々が女子人気を高めている。
現に今も先生は、図書室で女子生徒に囲まれている。
「せんせー!夏休みの予定は?」
「私とデート行こうよ!海とか〜」
先生のワイシャツの袖をひく女子生徒に、先生は苦笑いをしている。
「桜もセンセーのとこ行ってきなよ!応援してあげるからさ」
「なーに言ってんの!無理に決まってるでしょ!早く教室戻るよ」
夏休みの感想文の課題図書を小脇に抱え、私は友達と教室を出ようとした。
その時だった。
「あ、坂野さん、ちょっと教室残ってて。課題があるから」
暦先生に呼び止められ、私は心臓がどきっと高鳴る。
「もしかしたら…アイのコクハク?なんじゃない?」
「なにいってんの、課題よ、課題って先生も言ってるじゃない!!」
そう講義しつつも私の顔は茹だったように真っ赤だった。
やがて、先生に群がっていた女子たちは教室へ戻り、教室は先生と私の二人になった。
「あ、せんせ…課題って…?」
そもそも課題出されるようなことあったっけ、と思いながらも、先生の元へ向かう。
私は先生と話す時、きちんと目線を合わせられない。
きっと今私はすごい顔をしている。
人に見せられるような顔じゃない…
「ああ、ええとね…その…」
何故か先生が口ごもる。
もしかして…私、これ以上近づかないで、迷惑だから…的なことを言われるのでは。
きっとそのまま振られて、先生と一生話せないんだ…
なんて勝手に一人で突っ走っていたけれど、先生の口から出てきた言葉は、予想の真逆だった。
「坂野さん、夏休みの間だけ、先生の彼女になってくれないかな」
先生は。確かにそう言った。
誰も居ない図書室で。
セミの声が遠く聞こえる。
さぁぁっと青葉が揺れる。
待ちわびていた展開なのに…
幸せの過剰摂取すぎて、逆にクラクラしてくる。
「ご、ごめんね急にこんなこと…嫌だったよね、忘れて大丈夫…」
中々返事をせずに固まっている私を見た先生は、慌てて私に声を掛ける。
「いや、違うんです…その…嬉しすぎて」
言葉が追いつかない私を見て、先生は「だよね」と笑った。
「よかった、嫌われて無くて…早速だけどさ、明日どこか行かない?坂野さんの好きなもの、知りたいな」
やっぱり人生経験が豊富なんだろうか。早速デートのお誘いを受けた私は、喜び勇んで返事をした。
明日の朝9時、星蘭高校前の駅に集合。
スマホのメモ帳にそう刻んで、私は教室を後にした___
この恋が思っだより色々厄介なことをまだ、私は知らない。