歩道の邪魔にならないところに移動して、壱さんが人差し指を立てる。

「10回クーイズ」

「じゅっかい……クイズ?」

初めて聞いた。

「ピザって10回言ってから、俺が聞いた質問にすぐ答えること」

「分かりました。えーと、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ……」

指折り5回数えた時点で、壱さんがすでに笑っている。
言う通りにしているだけなのに、笑いすぎです。と、言いたいけれど、まだ途中なのでこらえることにする。

「ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ。はい、言いました」

「ここは?」

「ひざ! ……あっ」

壱さんが立てている人差し指をひじに向けるのを見て、勢いで答えてしまった。

「ははっ、さすがすぎる。雪平の生徒なら、こんな遊びやったことないと思ったんだよな。聖良なら、絶対引っかかると思った」

なるほど……。この結末を確信していたから、笑っていたと……。