波音のようにどんどん近づいていく変化にまだこの時は気付いてなかった。


「ザーザー、ザザン」

波の音がする。風が気持ちいい。

「真凜、早く来い、置いてくぞー」

「待ってよ、もう、今行く」

そう言って走っていく。すると、あれ、足が動かない。

それどころか体がだんだん埋まっていく感覚に陥っていく。

あれ、どうしよう、どうしよう、どうしよう、

「ねえ、待って、体が動かない、ねえ待って私を置いてかないで」

「ねえ、待って、待って、待って、、、」


ピピピ、ピピピ、ピピピ

音で目が覚める。

今のなんだったんだろう、妙にリアルだった。

誰だろう、私を呼んだ人は、、、

でも私って海かなんかに行った事あるのかな、、、


あー、わからない、考えても無駄か。

私には、過去なんかないんだから。