椎名の言葉に安堵したのか、英明の頬に涙が流れた。
初めて見る英明の涙に驚いたが、みんなはそんな英明を微笑ましそうな表情で見つめている。

みんなはあの英明が泣いていることに驚いていないんだろうか。
「さすが椎名だね。心が広い」

春美が呟くと重人が同意するように大きく頷いた。
「天使みたいだ」

「いや、神様だよ」
そんな声があちこちから聞こえてきて薄ら寒い気持ちになる。

なんだか頭もクラクラしてきたし、今からでも帰ろうかと教室のドアへ視線を向ける。

「それじゃ、次のテストをしようか」
椎名の声に視線を戻すと、さっきのテスト用紙は片付けられていた。