夜の学校は闇に沈み込んでいてとても不気味に見えた。
灰色の校舎は今や暗黒色に染まっている。

だけどその中で一箇所だけ電気がついていて、暗黒の中で神々しいほどに輝いて見えた。
「千佳?」

グラウンドに人の気配がして声をかけると、その人物が立ち止まったのがわかった。
そして慌てた様子でこちらへかけてくる。
「奈美!?」

やっぱり千佳だ。
まさか私がここへ来るとは思っていなかったんだろう、すごく驚いた顔をしている。

「どうしてここに来たの!」
夜だからか、怒っているようだけれど声量が押さえられている。

「だって、やっぱりほっとけないから」
「気にしなくていいのに」
そう言いながらもどこか嬉しそうにしているから、やっぱり千佳も不安があったんだろう。