やっぱり、あれだけ美人だと気後れしてしまうのかもしれない。
「友達になりたいよねぇ?」

「でも、そう簡単には無理でしょ」
私は千佳の言葉に左右に首を振り、おまけに肩をすくめてみせた。

今の状況を見れば彼女と挨拶するのだって難しそうだ。
「だよねぇ……」

千佳はふぅと大げさなため息を吐き出して私の机に突っ伏してしまった。
「でも、あれだけの人だかりができるのは今日だけだと思うよ? 勝負は明日からじゃない?」

千佳のつむじを見ながら言う。
転校生っていうのはどういう子でも初日にかならず人気者になる。

世話をやきたい生徒や、好奇心旺盛な生徒たちがわっと集まり、その中で本当に友達になりたいと思った数人だけが残るのだ。