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こんなモヤモヤとした気持ちのままじゃ授業も身に入らない。
休憩時間になったとき私は自分から千佳に近づいた。

「あのさ千佳。今朝のことなんだけど」
「え、うん」
千佳が顔を上げた瞬間私は目を見張った。

千佳の目の焦点が合っていない気がしたのだ。
顔はこちらを向いているのに、どこを見ているのかわからない。

「千佳、どうしたの?」
肩を叩くと千佳がようやく焦点をあわせた。

「え? なにが?」
千佳は何度もまばたきをして聞き返してくる。

本人はよく理解していないみたいだ。