「やってみたいけど、具体的になにができるかわからないな。それに比べて屋台や食べ物だと、やりやすい」

「そうですね。でもそれじゃ深い思い出は作れないんじゃないですか? 私はこの学校に来てまた数日ですけど、みんなと一緒に忘れない思い出を作りたいと思っています。可能性が低くても、提案することくらいなら、できるんじゃないでしょうか?」

最後の方は先生へ向けた言葉だった。

「そうだな。具体的な内容が決まっていれば使用許可を申請することはできる。本当に許可が降りるかどうかわからないけれどな」

「それなら、まず屋台か展示を進めながらステージでもなにかできることがないか考えるのはどうでしょうか?」

「ふたつのことを同時に考えるってこと?」
しのぶが渋い声を上げる。
さすがにそこまでの時間はないし、同意しかねるみたいだ。