椎名が準備してきたものどれもが怪しく感じられた。
きっとあれらには人を操るなにかの薬品が入っていたに違いない。

ギリッと奥歯を噛み締めて悔しさを押し殺す。

本当なら椎名のやり方を今すぐにでも直樹にぶちまけてしまいたかったけれど、拘束されたままでそれをするのは危険だった。

冷静になって判断しなきゃいけない。
「これで友達オーディションは終わり。だけどまだ後片付けが残ってるから、ふたりとも頑張ってね」

そう言うと椎名が私と直樹の拘束を解いて、ブルーシートを取り出してきた。
「この上に死体を置いて、硫酸を用意してきたから溶かすのよ」

「あぁ、わかったよ」
死体遺棄を命じられても直樹は動揺を見せず、笑顔を浮かべている。