今まで自分の体の一部だったものが強制的に引き剥がされていく。
その絶望感に涙が止まらなくなった。
「はい取れた。ね、簡単でしょう?」

椎名が歌うように質問してくるので、私は必死に頷いた。
この地獄のような拷問を耐えきるためには、椎名にずっと話しかけていてもらうしかなかった。

椎名のために椎名のために椎名のために。
それだけを考えて痛みに耐えた。

「すごいね奈美ちゃん。全然平気そうだね」
5枚目の爪を剥がしたとき椎名がそう言って褒めてくれた。

そうだよ。
平気だよ。
でもそれは全部椎名のためなんだよ。