椎名は顔をしかめて千佳の膝の上にタオルを投げた。
千佳はぜぇはぁ荒い息を繰り返しながらまた少し吐いた。
「次は奈美ちゃんの番ね?」

椎名はそう言うと有無も言わさずに私の口に白いハンカチをねじ込んできた。
布が喉の奥に突っ込まれて慌てて舌でそれを押し返した。

ハンカチを喉につまらせて死んだりしたら、ここまで頑張ってきた意味がない。
「よーし、今度はもっとスムーズに行くはずだからね」

椎名はやたらと張り切った声で言って、私の後方へ回り込んだ。
そして最初に私の小指を掴むとペンチが押し当てられた。

爪と指の間に無理やりペンチをねじ込まれることで激痛が走る。
「ぐぐっ」

とくぐもった声を上げたつぎの瞬間にはもう、私の小指はペンチによってしっかりと挟み込まれていた。
剥がされる!
ここで初めて恐怖心が湧き上がってきた。

ベリベリという嫌な音が体内から耳朶に響く。