なにかを取り出す気だ!
そうはさせまいと殴りかかろうとしたが、その前に春美が何かを引っ張り出していた。

カッターナイフだ!
すでに刃が長く伸ばされていて、その切っ先がこちらへ向いている。
ペンとカッターナイフではあまりに差がありすぎる。

咄嗟に身を翻して逃げようとしたけれど、春美が持つカッターナイフが私の首筋に突きつけられていた。

「あぁ……」
思わず喉から声が漏れ出た。
このままナイフで喉を引き裂かれれば英明と同じようになってしまう。

視線だけで教室後方へ視線を向けると、3人の死体が横になっているのが見えた。
英明の首から流れ出ていた血はすでに止まり、床に流れ落ちた血も黒く固まっているのがわかった。

「あははっ。私の勝ちだね」
春美が笑ってカッターナイフを私の首にグリグリと押し付けてくる。

心臓が爆発しそうに早鐘を打ち、死を意識する。
だけどまだ諦めたわけじゃなかった。

椎名は努力する友達がいいと言った。