「次が最後よ。春美ちゃんと奈美ちゃん」
椎名に名前を呼ばれた春美がビクリと体を震わせた。

さっきからずっと同じ場所にいるし、嘔吐したものもそのまま放置されている。
顔をしかめて見ていると、春美がフラリと立ち上がった。
顔は真っ白で今にも倒れてしまいそうだ。

「ちょっと春美ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫……だよ」
椎名の問いかけにもギリギリで答えているような感じがする。
これなら勝てるかも知れない!

私は大きな期待を持って机で作られたリングの中へと入っていく。
リングを内側から観察してみると、机の引き出しはすべて内側へ向けられていた。

中のものを自由に使えるようにだろう。
殴ったり蹴ったりしても効果がなければなにか使うのも手だ。

「それじゃ、スタート!」
椎名の声にハッと我に返ると目の前に春美の拳が見えた。