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次に氏名されるのは私と春美。
残っているふたりに違いなかった。
直樹とともに死体を後方へ移動させた私は緊張から手に汗をかいていることに気がついた。

「大丈夫か?」
予想外にも直樹がそんな心配をしてくれて胸がドキンッと跳ねる。

前はこういう気持ちをしょっちゅう抱いていたけれど、とても久しぶりのような気がした。

「う、うん。ちょっと緊張してるだけ」
春美が相手であれば、私にも勝ち目があると思っている。
千佳のように粘り強く相手を攻撃していれば、いつか春美も死ぬだろう。

途端に直樹が私の手を掴んだ。
そのぬくもりに動揺していると顔を寄せられて「頑張れ」と囁かれる。

心臓が口から飛び出してしまいそうだ。
「うん。頑張る」
私が頷くと直樹も大きく頷いて、何事もなかったかのように教室の前へと戻っていったのだった。