驚いていると更にもうひとつ、もうひとつ熱々のたこ焼きを口に入れて「うまい! 本当に美味しい!」と、繰り返す。

いつの間にかたこ焼きの屋台の前には行列ができていて、私が店番をしていた時間帯の売上はその日最高に達していたのだ。

その後偶然廊下ですれ違ったときに話をすると「ひとりで店番なんて寂しそうだったから、売上に貢献したくなったんだ」と笑った。

それが私と直樹の出会いだ。
この話をするといい話だねと言ってくれる人と、大笑いする人に別れる。

だけど私からすれば、直樹との出会いは一番最高の思い出になっていた。
「たこ焼き直樹」
ふと現実に帰れば千佳がそんなふうに茶菓してくる。

2年生に上がってから直樹と同じクラスになれたのに、まだあまり会話できていないから、しびれを切らしているみたいだ。