直樹が英明に勝った。
英明は死んだけれど、直樹は生きていた。
それを見た瞬間、忘れていた感情がふわりと浮かんできたのを感じた。

そうだ。
私は直樹のことが好きだったんだ。
だから直樹が生きていることが嬉しくて嬉しくて仕方ないんだ。

自然と顔に張り付いた笑みを両手で包み込む。
嬉しい。

直樹が生きていたことが嬉しい。
「すぐに次の戦いが見たいけれど、まずは掃除からね」

椎名が血まみれの教室を見てため息をついた。

それに反応して直樹がすぐに掃除道具入れへと向かう。
自分の体が血まみれになっていることなんておかまいなしに、床掃除を開始している。
「直樹、私が掃除するから、顔を洗ってきて」