直樹はペンケースの中から細いカッターナイフを取り出すと、カチカチと音を立てて刃を出した。
蛍光灯に照らされたそれがギラギラと光って見える。

直樹は荒い呼吸を繰り返しながら英明のところまで戻ると、さっきと同じように大きな体に馬乗りになった。
そして、気絶している英明の首にカッターナイフをあてがったのだ、

私はゴクリと唾を飲み込んでその光景を見つめた。

本能的に目を逸してしまいそうなるけれど、隣の椎名が目に焼き付けるようにふたりを見ているから、私も目を離すことができなかった。

「いや……いや……」
さっきからうずくまったままの春美が左右に首を振ってそう繰り返しているけれど、それに反応する生徒はここにはいなかった。

今、大切な場面なのだから黙っていてほしいとすら思う。
直樹が何度か深呼吸を繰り返した後、覚悟を決めたようにカッターナイフを握り直した。

そして英明の首を掻っ切るその瞬間だった。