「そう。まぁ、そんなもんよね。それにくらべて重人くんはすごかったわ。制限時間が設けられていないこと、化学室の薬品ならなんでもいいことをちゃんと視野にいれて、行動してきた。この中で一番毒物になるのは、間違いなく重人くんが持ってきたヒ素よ」

椎名の言葉に春美が悔しそうに唇を噛み締めた。
「だけど、職員室のドアが開いてなかったらどうしてたんだ?」

直樹に聞かれて重人は左右に首を振った。

「その可能性は低いと思って行ったんだ。椎名が化学室の鍵を開けたってことは、職員室の鍵も開いてるんだろうなって」

「その通りだよ。私は化学室の鍵を撮るために職員室の鍵も開けておいた。そういう機転が利く友達がほしいと思ってたの」

椎名の褒め言葉に重人が嬉しそうに頬を緩める。
悔しいけれど、今回は重人の勝ちだ。