「僕は6番目だったからどうせいい薬品は残ってない。だから一旦職員室へ行って鍵を持ってきたんだ。生徒たちの手の届くところには置かれることのない、劇薬の棚の鍵をね」

説明する重人に椎名が納得した様子で何度も頷いた。
「だから、時間がかかっていたのね?」

「そう。化学室にある薬品としか説明されていなかったから、これでもいいはずだろ?」「そ、そんなの卑怯だって!」

叫ぶように言ったのはしのぶだった。
しのぶは青ざめた顔で全員の顔を見回した。
誰か助けてほしいと訴えているのがわかったけれど、誰もなにも言わなかった。

6番目の重人と7番目のしのぶが最下位争いをする予定だったのだ、とんだ番狂わせが怒った。
次にしのぶが何を出すかで最下位が決まる。
私はごくりと唾を飲み込んで、ラベルの見えないビンを見つめた。