英明も自信満々な笑みを浮かべている。
「俺はアンモニアだ」
直樹が袋から刺激臭のするビンを取り出す。

これが床に落下して落ちたらと考えると恐ろしい。
「私は臭素酸カリウムだよぉ。どうかなぁ?」
千佳は自信なさそうに呟く。

確かこれも服用すると致死率が高い薬品だ。
次は私の番。

みんなの視線が一斉にこちらを向いて妙に緊張してしまう。
「塩酸だよ」

そう言うと椎名が少し驚いたように目を大きく見開き、それからニッコリと微笑んだ。
「この順番で塩酸が残ってたんだね。上手な選び方だと思うよ」
褒めてもらえてホッと胸をなでおろす。

少なくとも椎名からすれば悪くない薬品を選んできていたみたいだ。
残りのふたりについてはもうほとんど興味がなかった。
あの棚にある薬品ではもう選びしろなんてなかっがはずだから。