それから教室の奥へと向かい、薬物が置かれている棚の前で立ち止まった。

大小様々な茶色のビンがズラリと並んでいる中、ところどころ隙間が開いているのは、すでに春美たちが持っていったものが元々置かれていたんだろう。

それでも沢山の薬品が並ぶ中、奈美が手にとったラベルには塩酸と書かれていた。

これはガスを吸い込むと目や鼻に刺激を感じて、ひどい濃度が高い場合は30分から1時間ほどで死に至ると言われている。

塩酸のタンクに謝って落下した作業員が死亡してしまう事故も、実際に起っていた。
他の薬品にも目を向けてみるけれど、消毒用のエタノールとか、有毒性が低そうなものが多かった。

「これでいっか」
というか、これしかわからない。