まだ半分も来ていない。
それから千佳が戻ってきて、ようやく私の番になった。

「それじゃ奈美ちゃん、よろしくね」
椎名に声を掛けられてすぐに教室を出た。

時間制限は設けられていないから急ぐ必要はないけれど、自然と早足になった。
真っ暗な廊下をスマホのライトで照らしながら進む。

誰もいない静かな校舎は薄気味悪くて、大きな鏡が目の前に出現するたびに声を上げてしまいそうになった。
それらをどうにかやり過ごして階段を駆け下り、角部屋までやってきた。

プレートには化学室と書かれている。
教室前方のドアに手をかけて見ると、椎名が言っていた通り鍵は開いていた。

そっとドアを開けて中へ足を踏み入れると、ひやりとした空気が肌にまとわりついてくる。
いろいろな薬品があるためかこの教室だけは温度が一定に保たれているみたいだ。