春美が戻ってくるまでの間に思い出そうとしてみたけれど、定番の薬品しか出てこない。
これじゃこの戦いに勝つことはできないかもしれない。

こんなことになるなら、ちゃんと授業を受けておけばよかった。
奥歯を噛み締めて待っていると、春美が自陣満々の笑顔で帰ってきた。

黒い袋が膨らんでいて、ちゃんと中身が入っていることがわかる。
「持ってきた毒物と割り箸をここに置いて。中身を確認するのは最後にしよう」

椎名に言われた通り、春美は袋と割り箸を教卓に置いた。
あの袋の中にどんな毒物が入っているのか確認したくてたまらない。

だけどそれができないのがひどくもどかしかった。
「次は英明くんね。行ってらっしゃい」
椎名に見送られた英明が早足で教室を出ていく。