ハンカチを拾い上げて質問すると「私のよ」と、椎名が答えた。
椎名のハンカチ。

そう思った瞬間胸の奥がカッと熱を持った。
嬉しさが全身を駆け巡っている。
無意識の内にハンカチを抱きしめて自分の胸に押し当てていた。

「わ、私のためにありがとう」
お礼を言う声が上ずるほど興奮している。

私、どうしたんだろう。
気絶する前と後で、なにかが180度変わってしまったような気がする。

だけどなにが変わったのかわからないまま、椎名の笑顔を見つめていた。
「もう大丈夫そうね?」
「うん。もう大丈夫だよ」

まるで天使の笑顔だ。