頭がクラクラしてなにも考えられない。
椎名の顔も、直樹の顔も歪んで見える。
椎名が近づいてきて、甘い匂いが強くなる。

その匂いから逃れようと身を捩るけれど、直樹に抱えられるようにして身動きがとれない。

次第に頭の中に霧がかかったようになってくる。
意識がぼやけて、椎名や直樹がなにを言っているのか聞き取りにくくなってくる。

やがて私は、真っ暗な闇の中へと引き込まれていったのだった。