悪いことって続くものだ。
彼女にお小遣いを取られて、彼女にこかされている場面のあざと可愛い彼に見られて。

それだけでもう十分なんに、私は目撃してしまった。
それはある日の放課後。

忘れ物を取りに教室へ戻ったときのことだった。
誰もいないはずの教室内に人の気配を感じて、そっと窓から覗き見た。

もしも彼女がいたら、またイジメられるかもしれないと思ったから。
教室の中には彼女がいた。

だけど、彼の姿もあったんだ。
彼は少し身をかがめていて、手にはリップを持っていた。

彼女の方は頬を赤く染めて目を閉じている。
彼はそんな彼女の唇にリップを塗ったのだ。

その光景に息が止まるかと思った。