彼女が目の前を通り過ぎていく瞬間、私の前髪をひっぱった。
鷲掴みにされて引っ張られた拍子に体のバランスを崩してコケてしまう。

「ダッセェ」
彼女が呟き、友人らと大笑いしながら歩き去っていく。

恥ずかしい。
見られた……。

あざとかわいい彼にも自分のダサイ姿を目撃されてしまったことが恥ずかしくて、私は顔もあげずに立ち上がると、そのまま逃げるようにして立ち去ったのだった。