「そこまで分かっていらっしゃるのに、どうしてそうまでして私を助けようとお考えなのでしょうか?」

 レオンの申し出はもちろんありがたい。ありがたいけれど、それに甘んじてしまうのには抵抗がありまくる。対キール対策だけで考えればありがたい事だけど、でも……。

「先日のような事を目の当たりにして、同性から見ても気分が良いことではありません。そんな輩にリーチェがやっかまれていると思うと、助けなければと考えるのは至極真っ当な事だと思います」
「そう、でしょうか……」
「そうです」

 キッパリと言い放つこの眼福イケメンに、思わずほだされそうになる。
 いや、私の本心だけで言えばその意見に乗ってしまいたいのだけど……彼の本当の相手はマリーゴールドだ。例え一時の嘘だとしてもそれはやってはいけないような気がしてならない。

「……リーチェには誰か、想いを寄せている相手がいるのでしょうか? もしくはすでに誰かお相手がいるとか?」
「いっ、いえいえ! そんな人はいません」

 思わぬ問いに、私は全力で否定する。完全なる条件反射というやつだ。
 それを聞いたレオンは再び笑みを携えて、新しく注がれたワインをひと口飲んだ。