もしくはマリーゴールドが現れる前だからかな? ヒロインが現れたらきっと、皆が彼女に注目するだろうし。
 そしたら私と関わりを持つ時間すらもったいないと思うくらい彼女に夢中になるんだろうな。
 だとすれば、それまでの期間を耐え抜けばなんとかなる。

「私がリーチェと一緒にパーティに参加するとして、一つ条件を出しましょう」
「条件?」

 今さら一緒に参加しないというのは受け付けないと伝えてるけど、どういう条件を突き出してくるのか、全く見当がつかなくて私は首を捻った。
 レオンはフォークとナイフをテーブルに置き、口元をナフキンで拭った後にこう言った。

「私とリーチェがつき合ってる事にするのです」

 ――ブッ‼
 予想だにしなかったセリフに、私はもう少しで口に含んだ赤ワインを噴き出すところだった。

 あ……っぶない! また口から吐き出したものを対面にいるレオンに吹っ掛けるという失態パートⅡをしでかすところだったっ‼

 しかも今回のはワインだし。さらに言えば赤だし。
 吹きかけてたら血のりみたいになるところだ。
 むしろ吹きかけた私が血のりならぬ本物の血でも流すことになるところだったかも。
 男主人公で、相手は紳士的とはいえ、帝国の騎士だ。男に二言ならぬ、二度目はないかもしれないし!