っていうか、フルカラーで実際に動く自分のキャラを見るのって、本当に最高!
 ……なんて、そんな風に思ってる場合じゃないって分かってるのに、そう思わずにはいられない。
 何せ私はこのマンガのアニメ化が決まったけど、それを実際に見る前に死んでしまったのだから。

「なんだ、緊張して固まってるいるのか?」

 そう言って、私の長い髪を一房掴み「チュッ」なんて音を立ててキスをする。
 やばい。鼻血出そうなんだけど。
 思わず鼻を抑えながら、私はなるべくキールから距離を取る。
 背中には壁だ。これ以上は下がれない。
 けれどせめて顔だけでも離したいところだ。
 何のフレグランスを使ってるのかは分からないけど、すっごくいい匂いがする。
 マンガでは匂いまで設定してなかったけど、彼の登場シーンでは背景に花弁を飛ばしまくってたから、それか……?

「あ、あの……」

 いつまでもこうしているわけにはいかない。
 私は勇気を出して、ワナワナと口を開こうとすると、鼻を抑えていた手を掴まれ、今度は手の平にキスをされる。