「ところで俺に話したいことがあるようだが、それは一体どういう話なんだ?」

 イケメンとの食事に夢中になりすぎて、本題をすっかり忘れてしまうところだった。
 グビグビッと飲み干したワイングラスをテーブルに置くと、すぐさま背後に立つ従者がワインを注いでくれる。なんて素敵なシステムだ。
 そんな事を思いながら、私は口を開いた。

「ビジネスの話です。実は香水を作るにあたって、もっと数多い精油を使いたいと考えています。ただ世に出回っている精油だけでは私の作りたい香油ができないのと、運よく見つけた精油も物によって価格が高価すぎるのが現状です」

 高価な香水を作るのはいいけど、原価はなるべく抑えたいところ。この世界の精油は数が多くない。今まで手に入れたものも結局はマルコフの力を借りて流通経路をおさえて購入したものにすぎず、決して安くはないのだ。

「ですから私としては抽出者を雇いたいと考えています」
「錬金術師を雇うということか?」

 レオンの言葉に、私はゆっくりと頷いた。