けれどそんな一時の感情も胃の底へと落とし込み、ふうと小さく息を吐いた。

「とにかく今は、その手紙を受け取ってもよろしいでしょうか? いただいた手紙を拝読し、内容によってはキチンとした返事をしなければなりませんので」

 今はこう返すので精一杯だ。そもそも手紙の内容もよく分からないのだから、ヘタな事は言えないし。
 ……ただ、良い内容ではない事だけは手紙を読まなくても分かるけど。

「ああ、分かった分かった。とにかく上手くやるんだぞ」

 やっと手紙を受け取り、マルコフが部屋を出て行ったのを確認してから、引き出しの中にあるペーパーナイフで封を開けた。
 手紙の内容はこうだった。


  愛しのリーチェへ


「ちょっと待て。宛名からすでに突っ込みどころ満載なんだけど!」

 抑えきれず、思わず手紙を握りつぶしてしまった。
 愛しのって、なに? 人の事殴ろうとしたり、最後は捨て台詞みたいなのまで吐いてなかったっけ?
 なんなの? サイコパスなの?
 そんなキャラ設定した覚えはないんだけど!

 ほんとコイツは、中身を読む前からイラっとさせる距離感取ってくるじゃん。
 一旦深呼吸して気持ちを落ち着かせて、くしゃくしゃになった手紙をもう一度開く。
 えっと、なになに……?