吹き出したのも一瞬で、すぐに顔を背けて誤魔化してみたけど、時既に遅し。キールは私を睨みつけていた。

「仕方がない、ハンデをやる」

 レオンは私の腰に腕を回し、グッと体を引き寄せた。

「俺は剣を使わず、素手で相手をしよう。これならどうだ? 公爵はもちろん武器を使えばいい」
「そんなことを言って、魔法を使うつもりではないだろうな?」

 キールの言葉に、レオンの鋭い目尻がさらに尖った。

「俺は魔道士ではなく、騎士だ。魔法など使わない。騎士の誇りにかけて誓おう」
「その言葉、忘れるなよ。……その申し出は一旦こちらで引き取り、後日お前の申し出の受け入れ有無を使いの者にて伝えよう」

 ……いや、ここで返事せんのかい。結果、代理人を立ててもいいのであれば決闘を受けるとかなんとかの手紙でも送ってきそうな勢いじゃん。
 どこまでもクズい男だな。今までのくだり、全部無かったことにする可能性もあるのがクズい。
 私はチラリとレオンに視線を向ければ、レオンは呆れた様子。「はっ」なんて乾いた笑い声を漏らしながら、視線を私に向けた。
 そしてーー。