「俺の人生で間違いなくトップに君臨するほどの怒りを、俺は今感じている。だからさっさと決闘を受け入れろ。二度とリーチェに関わろうなどと思わないほどにのしてやる」
「ふざけるな。俺がリーチェの代理人を受け入れたのは、俺がリーチェと直接剣を交えるには力の差がありすぎるからだ。それは俺とお前でも同じ事だろ。それとも、俺が代理人を立てると、お前はその相手に勝てないとでも思ってるのか?」

 さっき私が言ったのと同じような言葉で、レオンをふっかけようとするキール。だけどレオンはキールの言葉に乗るつもりなはないみたい。

「いいや、俺がこの手で公爵を負かせたいからに決まってるだろう」
「はっ、それが騎士のする事かと言ってるんだ。俺は騎士ではないんだぞ!」
「関係ない。男なら器量を見せてみろ」

 キールの言ってることは分かるけど、レオンもまたブレない。二人の会話は埒があかない。

「……これだから、筋肉バカは話にならない。脳みそも筋肉しか詰まってないようだな」
「そういう公爵は脳みそが下半身にあるようだが? 俺はそれよりマシだと思うぞ」

 ーーぷっ!
 おおっと……思わず吹いてしまった。私がずっと思ってたことを、レオンが言葉にしてくれた爽快さったらない。