「何をコソコソと話している。俺の話はまだ終わっていないぞ」
「コソコソとしていらっしゃったのは公爵様の方ではありませんか? こんな人気のないところで見知らぬご令嬢と、一体何をしようとなさっていたのでしょうか?」
「はっ、何を勘違いしているのかは知らんが、体調が悪いと言っていた令嬢を夜風の涼しい場所に連れ出していただけだ」
「それは嘘で……!」
キールの言葉に反論しようとしたマリーゴールドが、自分で自分の言葉を遮った。
きっとキールの表情が悪魔の化身のように見えたからだろう。
しかしこの男、腐りまくっても公爵家当主。前公爵当主は年配だったため他界し、兄弟は健康に恵まれず、キールが当主に就任した。けれど兄弟が病弱なのもこのクズ男が一枚かんでいる……というのが設定だ。
生まれながらにしてキングオブクズのこの男が権力を持ってしまった事が、この世界の災厄とも言える。
「そうでしたか。ドレスの締め付けによるものでしょうか? ちょうど酔い止めの香を持っていますので、どうぞお使い下さい。なんなら瓶ごと差し上げますので、どうぞ私達を二人きりにさせて下さいませ」
さっき持って来ていた扇子とバッグを従者に預けてしまったため手元にはないけど、お金の入った袋や香水瓶は腰に巻き付けてあるポケットに移動させておいた。
「コソコソとしていらっしゃったのは公爵様の方ではありませんか? こんな人気のないところで見知らぬご令嬢と、一体何をしようとなさっていたのでしょうか?」
「はっ、何を勘違いしているのかは知らんが、体調が悪いと言っていた令嬢を夜風の涼しい場所に連れ出していただけだ」
「それは嘘で……!」
キールの言葉に反論しようとしたマリーゴールドが、自分で自分の言葉を遮った。
きっとキールの表情が悪魔の化身のように見えたからだろう。
しかしこの男、腐りまくっても公爵家当主。前公爵当主は年配だったため他界し、兄弟は健康に恵まれず、キールが当主に就任した。けれど兄弟が病弱なのもこのクズ男が一枚かんでいる……というのが設定だ。
生まれながらにしてキングオブクズのこの男が権力を持ってしまった事が、この世界の災厄とも言える。
「そうでしたか。ドレスの締め付けによるものでしょうか? ちょうど酔い止めの香を持っていますので、どうぞお使い下さい。なんなら瓶ごと差し上げますので、どうぞ私達を二人きりにさせて下さいませ」
さっき持って来ていた扇子とバッグを従者に預けてしまったため手元にはないけど、お金の入った袋や香水瓶は腰に巻き付けてあるポケットに移動させておいた。