「これで分かっただろ? リーチェは俺のだという事を」

 キールは私の手を掴んで、力いっぱい引っ張った。その様子に反応したレオンだが、同時にキールは空いた手でパチンと指を鳴らした。

「すまないが俺の婚約者の周りを飛び回るハエには、出て行ってもらおうか」
「レオンッ!」

 剣を構えた騎士数人に阻まれ、レオンは身動きが取れない。レオンの手を取ろうとしたけど、それさえもキールとキールが従える騎士に阻まれてしまった。

「今日の来賓は招待状を持った者のみなのでな。悪く思わないでもらいたいものだな」

 こうなったら……そう思って私は再びキールの足をヒールで踏みつけてやろうとしたけど。

「きゃあ!」

 キールに太ももを掴まれ、持ち上げられる。それはキールを踏もうとしていた方の足だった。
 ドレスの裾から露わになる生足。
 前世ではショートパンツだって履いて生足を披露していた時代もあったというのに、郷に入れば郷に従うというものだろうか。
 夜風をダイレクトに受けた生足に、私の頬は高揚する。

「そう何度も同じ手を食らうと思ったか?」

 私はドレスの裾が上がらないように、両手で必死になって露わになった太ももを隠す。
 キールが空いた片手で私の腰に手を回しているせいで私はこれ以上身動きが取れない。太もももがっちりと掴まれたままだ。