『なんだよその耳』

 引っ張られたり

 『うわ、気味悪w』

 ちぎられたり

 もう散々だった

 こんな耳さえ、こんな尻尾さえなければ僕は幸せだったのに

 いつしか、僕は自分のことを憎むようになった






 『お腹、空いた…』

 トボトボと村を歩き、近くの家に訪ねた

 『すみません…、食料を…』

 すると、そこの家主が

 『気持ち悪い、そんなのないよ。出て行ってくれ』

 と、力強く扉を閉められた

 『っ…だめか』

 また、歩き出し…僕は洞窟に向かった

 『……ここで死んでもいいや』

 腰を下ろし、見上げる

 ぽたぽたと水が滴っていた

 『…なんで、僕はこんな姿なんだろう』

 身を縮めこみ、顔を埋める

 僕は、狼と人間のハーフ。それは、世にとても珍しい種だった

 世界には、5人しかおらずそのうちの1人が僕だった

 僕は生まれた時、両親に気味悪がられ捨てられた

 こんな人生…ほんとやだな

 そう思っていた時、上から声が降ってきた

 『大丈夫?』

 『え…?』