___ポトッ___
線香花火の火が、落ちた。
「終わり……か」
誰もいない、1人の河川敷にぽつりと呟いた。
隣には、もう貴方はいない。
少し伸びた髪を見て、「似合っとるなぁ」と言ってくれる彼はいない。
星になった彼に、今なら言ってもいいよね。
「勝手に、置いてかないでよ……」
もっと一緒に話したかったし、卵焼きも上げたかった。
特に恋人らしいこともできなかった。
キスさえ、出来なかった。
人の気も知らないで。
けど。
「私も、幸せだったよ」
左耳の銀色のピアスが、キラリと光った。
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