私はすごく視力が悪くてメガネの度が強いから、レンズが牛乳瓶の底みたいに分厚い。

だから、重たくていつも耳が疲れるんだ。

この町にはコンタクトが売ってないから諦めていたけど、関東に行ったら買いたいと思っていたのに……どうしてコンタクトにしたらいけないんだろう……?



「と、都会は危ないからだ!」



綾くんはいつになく真剣な顔で、私の両肩を掴んだ。



「こ、コンタクトにしたら、不審者に狙われる可能性があがる」

「ええっ……!」



コンタクトって、そんなに危ないものなの……!



「都会は危ないから、防犯のためにもこの分厚いメガネを外すなよ」

「う、うん! わかったっ……!」



都会生まれ都会育ち、2年前まで都会に住んでいた綾くんがいうなら、本当にその通りなんだろう。

こくこくと頷くと、綾くんは「いいこ」と言って満足げに頭を撫でてくれた。