申し訳ない気持ちでいっぱいになって、黄泉先生の小説を抱きしめながら、下唇をきゅっと噛む。


どうしよう……。

豪神くん、もう戻ってこないかな……?


心配になって俯いた時、床に影が落ちた。


え……?


顔をあげると、さっき出ていったはずの豪神くんの姿が。



「あ、あのっ……」

「……ごめん、急に出ていって」



私が謝るよりも先に、なぜか豪神くんに謝られた。



「う、ううん……! 私のほうこそ、一人で話してごめんなさい……! 嫌な気分に、させちゃったよねっ……」

「違う。あんたは悪くないから。その……きゅ、急にトイレに行きたくなっただけ」



え……? ほ、ほんとに……?



「お、怒ってない?」

「怒ってないし、大丈夫だから」

「ほんとにほんと……?」

「ほんと」

「よ、よかったっ……」