「何がいいの……?」
メガネの奥の瞳は見えないけど、なんだか疑うような目で見られている気がした。
何がいいって、そんなの……。
「全部……!」
話し出したらキリがないくらい、黄泉先生の全部が好き……!
「先生の言葉遣いも世界観もセンスも文才も何もかもが素敵なの……! 先生はきっと神様だよ……!」
「……」
「黄泉先生の作品の登場人物って、みんな優しくて……どの作品もね、読み終わったあとにただただ幸せな気持ちになるんだ……!」
「……」
「黄泉先生の小説はね、私を幸せな世界に連れて行ってくれるの……!!」
私が人生のどん底にいた時も……黄泉先生が救ってくれた。
先生がいるから、今の私がいるんだ……!
……って、しまったっ……!
黄泉先生のことになると、つい我を忘れて喋りすぎてしまう。