女子が嫌いって言ってたから、迷惑になるってわかってるけど……。



「誰かと話したくて、うずうずしてて……」



勇気を振り絞って、豪神くんを見る。



「……ちょっとわかる。この小説、面白いし」



どんな反応が返ってくるか怖かったけど、表情を緩めた豪神くんを見て、言ってみてよかったと思った。



「もう読み終わったって、この作者のファン?」

「ファンって呼べるほどじゃないんだけど、全作読んでるよ……!」

「全作って……この人30冊以上だしてるし、それはもうファンの域じゃないか」



それを知ってるってことは、豪神くんはやっぱり読書家なんだろうなっ……。

椿屋先生の書く小説は大好きだし、新刊が出るたびに毎回読んでる。

だけど、ファンは名乗ってない。


だって、私がファンなのは……。