こそこそと、周りから聞こえる豪神くんに向けられた声。

どうしよう……こういう空気、嫌だな……。


確かに豪神くんも冷たかったと思うけど、強引にメガネをとろうとした女の子も悪かったと思うし……周りの人が何かいうことではないと思う。


というか豪神くん、人付き合いが苦手だと思ってたけど、女子が嫌いだったんだ。

だから、理事長室で私を見つけて、すぐに出て行っちゃったのかな……?

そうだとしたら、居合わせちゃってなんだか申し訳ないなっ……。


できるだけ豪神くんには関わらないでおこうともう一度心に誓った時、豪神くんが読んでいた小説の表紙が見えた。


あっ……!

椿屋先生の最新作だ……!



「それ、昨日出たばっかりの新刊だよね……!」



気づいた時には、もう声に出してしまっていた。

し、しまったっ……。