「ああ。特待生は一般の生徒とは座席が違うから、入学式が行われるホールまで一緒に行こうか」

「……ひとりで行けます」



あ……。

立ち上がって、そのまま理事長室を出て行ったその男の子。

理事長はあははと、困ったように笑った。


「申し訳ない。彼は難しい子でね」

「い、いえ……! 大丈夫です……! ひとりが好きな人もいると思いますし」



せっかくだから、お友達になれたらいいなと思ったけど……人付き合いが好きじゃない子なのかもしれない。

理事長はなぜか、私を見て一瞬目を見開いたあと、嬉しそうにまた笑った。



「君は優しいね」



や、優しい?



「それじゃあ、一緒に行こうか。新入生代表の挨拶は彼がしてくれるから、君はリラックスして入学式に出席してくれ」

「はい……! ありがとうございます!」

「……ああ、そうだ」