「入学式、頑張ってね」


ふわりと花が咲くみたいに優しく微笑んでくれた人は、私と同じ中等部のネクタイをしていた。



「ねむ……」


大きなあくびをしながら、興味なさそうに歩いていく人は、高等部のネクタイ。



「ひっ……じょ、女子こわいっ……」



なぜか私に怯えながら逃げるように通り過ぎて行った人は、中等部の人みたいだった。

なんだかすごい個性的な人たちだったな……って、急がなきゃ……!


余裕を持って出てきたけど、何事も時間前行動が大事……!

おばあちゃんの教えだ……!


走って向かうと、理事長室らしき大きな扉が見えた。

コン、コン、コンと三回ノックをして、ゆっくりと扉をあける。



「し、失礼します」



中にいたのは、理事長席に座っている40歳くらいの優しそうなおじさんと、ソファに座っているメガネをかけた男の子。