「君、新入生? 迷子になっちゃった?」
迷子……?
笑顔で聞いてくれるその人に、首を横に振る。
「いえ……だ、大丈夫です!」
もしかして、心配してくれたのかな……?
よく見ると、ネクタイの形が私のものと違う。
才咲学園は、中高一貫の学園で、中等部と高等部でネクタイの種類が別だから、一目でわかるようになっている。
この人は……高等部の先輩だ。
「え? でも、一年生の教室は校舎が違うから、この棟じゃないよ。この先は理事長室だから。もしよければ、僕が案内しようか?」
「あの、理事長室に用事があって……」
私の返事に、彼はさっき以上に目を大きく見開いた。
「もしかして、特待生?」
「は、はい」
「……今年はふたりか……学だけじゃなかったんだ」
がく……?