私の名前は言葉文(ことは ふみ)。

おじいちゃんとおばあちゃんと小説を読むことが大好きな、どこにでもいる普通の中学1年生。

といっても入学式はまだだから、正確には明後日から中学生になる。

私の将来の夢は、小説家になること。

そして今日は——その夢に、一歩近づく日。








「文ちゃん、用意できたかーい?」

おばあちゃんの声に、「うん!」と元気に返事をする。

都会から遠く離れた田舎で、おばあちゃんとおじいちゃんに育てられた私は、関東のとある中学校に入学することが決まっている。


私立才咲(さいさき)学園。


作家の登竜門と呼ばれている学園で、文芸部からは多くの大人気作家が生まれている。

小説が大好きで、将来は小説家になりたいって夢がある私は、どうしても才咲学園に入学したかった。