レイが亡くなったという話を聞いたのは、それから随分経ってのことだった。


僕は東京という街に見切りをつけて、地元に帰っていた。


それから病気をしたり、免許を取るのに失敗したりと、いろんな経験をした。


そして、日本に核兵器が落とされた79年後の夏の日の夕方、僕の家に一人の女性が訪ねてきた。


その人は、レイコさんと言った。黒髪に白のワンピースが映えるとても綺麗な人だった。


そして、そのレイコさんに、僕はレイが病気で亡くなったという話を聞いた。