その日から、僕は毎晩、レイ・ジェラルドと会うようになった。


ある時は公園で、ある時は渋谷で、またある時は僕のカフェにも遊びに来てくれた。


そして、週末になれば、どこかしらで開催されるレイ・ジェラルドのパーティーに通い、僕はそのパーティーでいつもポルノグラフィティの曲を何かしら歌った。


「レイは歌わないの?」


「ああ、親友。すまないが僕はあまり歌が上手くないんだ」


「謙遜? だってこんなにいい声してるじゃん」


「声が良ければ歌が上手いわけではないさ。それより親友。キミの話をもっと聞かせてくれないか? 僕はキミの過去の話を聞くのがとっても大好きなんだよ」


「また? 僕の話ばかりだと僕が飽きてくるよ。僕はレイの過去の話が聞きたい」


「ははは、キミは本当に面白い人だね。僕の過去の話に興味があるなんて」すると、レイは僕の耳元に手をやった。


「僕の連絡先だ。過去の話は、実際にあった時に二人っきりでしよう」