「いやあ、驚いたよ。まさかあなたがレイ・ジェラルドだったなんて。だって名前が空欄になっていたから……」
「ああ、名前を付けているとみんな僕にしか関心がいかなくなるからね。でも、それはパーティーなんかじゃない。キミはそう思わないかい?」
「確かにそうかもしれない。っていうか、どうして僕の部屋に?」
「そんなことはどうでもいいじゃないか、親友。それよりもキミは歌わないのかい? 僕はキミの歌声をぜひ、聴いてみたい」
僕は、レイ・ジェラルドに半ば強引に進められて、特設されたステージに立った。
「親友! アーティスト名と曲名を書いてくれ!」
僕は、ポルノグラフィティの「海月」を書いて、歌った。
歌い終わると周りから拍手が起こった。その拍手の中で、ひときわ大きく拍手をしてくれたのが、レイ・ジェラルドだった。
「ブラボー! 親友! キミは本当に最高だ!」